インバウンド観光関連コラム (VOL6)『徳島県医療観光(メディカルツアーの事例)』

徳島県医療観光(メディカルツアーの事例)
~糖尿病医療観光に活路を求める徳島県~

多くの地方都市が少子化による人口減少に危機感を募らせる中、徳島県は中国からインバウンド観光客を集めて交流人口を増やそうと、糖尿病医療観光ツアーを催し、注目を集めています。糖尿病死亡率が長く全国ワーストワンだったことを逆手に取ったアイデアで、先進の糖尿病検診と県内観光をミックスしたツアーです。2009年度からこれまでに計10回開催され、上海などからやってきた富裕層約30人が検診を受けながら、徳島観光を楽しみました。

中国の富裕層に注目
 四国の東部に位置する徳島県は人口80万人足らず。山が多い西部、南部は過疎地域を多数抱え、東部の吉野川下流が都市部ですが、急激な人口減少に直面しています。主な観光地は徳島市の阿波踊りや鳴門市の渦潮など。最大の観光イベントである阿波踊りが8月の4日間だけの開催ということもあって、観光庁がまとめた14年の宿泊者数は延べ約251万人で、奈良県に次いでワースト2位にとどまっています。愛媛など四国の他3県にも大きく後れをとっていることから、観光客誘致の対象として目をつけたのが外国人(インバウンド観光客)。中でも今後、急激に増加すると見られる中国の富裕層に照準を当てました。

糖尿病ワーストワンを逆手
徳島県は人口当たりの糖尿病死亡率が常に全国トップクラス。1993年からは14年連続でワーストワンになる不名誉な記録も持っています。このため、県内には糖尿病の検診、治療に高い技術を持つ病院が多く、これを活用してツアーを発案しました。中国で富裕層に糖尿病が増えていることも計画に好都合でした。企画には大手旅行代理店や県内の医療機関が協力し、2010年3月に最初のツアーが3泊4日の日程で催されました。このときは上海からツアー客に旅行業者、通訳らを加えて約30人が来県。徳島大学病院で10人が糖尿病などの検診を受け、渦潮を見物しています。

名前売り込みへ10回のツアー
県国際戦略課によると、ツアーはその後、10年度4回、11年度2回、12年度1回、14年度2回開催されました。検診を受けたのは合計約30人。同伴者を含めるとざっとその3倍が徳島を訪れています。参加者の反応は好評で、病院の充実を評価する声が多かったようです。まだこの程度の数なので、インバウンド観光客数の増加には微々たる効果ですが、県は「糖尿病といえば徳島というイメージが定着すれば、今後大きな伸びも期待できる」と算盤を弾いています。さらに外国人の医療費は保険診療より高額なことから、赤字に苦しむ公立病院の経営改善にも期待されています。

勝ち抜けるか、近隣国との競争
ただ、医療観光に関していえば、日本は10年に新成長戦略の柱の1本に位置づけましたが、アジアの中ではまだ後進国です。韓国やタイ、台湾など早くから力を入れている国や地域との誘致競争をくぐり抜けなければなりません。県は今後もツアーを続け、利用者の意見を企画に反映させながら、地道に名前を売り込んでいくことにしていますが、目に見える成果が上がるにはもうしばらく時間がかかりそうです。

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