地方創生・地域活性化事例集(VOL3)『域学連携の成功事例~福岡・九大生の取り組み~』

九大と連携して地域活性化、福岡県糸島市

福岡県糸島市が九州大学(福岡市)と連携して学生のアイデアを地域活性化に活用し、注目を集めています。糸島市と福岡市にまたがる場所に九大伊都キャンパスが建設されたことから、連携協力協定を結んで進めているもので、空き店舗や古民家を改修して地域の拠点を整備したほか、活性化プランコンテストを毎年開催し、学生の柔軟な発想を市の行政施策に活かそうとしています。

中心部はシャッター通り

糸島市は県西部の旧前原市、志摩町、二丈町が合併して2010年に発足しました。人口は9万7000人。福岡市に隣接しているため、ベッドタウンとしてそれなりの人口を維持しているものの、高齢化が進み、中心部にある前原中央商店街はシャッター通りになっています。地域が抱える豊かな食や自然を活性化策に活用しきれていないこともあり、市発足後すぐに九大と協定を結びました。

空き家改修し、イベント会場に

九大がまず手がけたのが、糸島空き家プロジェクトです。JR筑前前原駅近くにある店舗兼住宅をシェアハウスに改修、住人の学生と地域の人たちが交流する場所として12年にオープンしました。音楽家のライブや英会話教室、子供対象の寺子屋イベントも催しています。伊都キャンパス近くにある築130年の古民家は学習塾に改築、その家にある長屋門(注)をカフェにして地域の人たちに開放しています。

地域フリーペーパーを学生が編集

九大には大学生や大学院生でつくる地域活性化団体「iTOP」が結成されました。今、メンバーは100人以上になり、地域フリーペーパーの編集や前原中央商店街にコミュニティースペースの開設、まだ知られていない市の魅力を写真で全国にPRするプロジェクトを進めています。さらにフェイスブックやツイッターで地元の話題を発信し、市の知名度アップにも一役買っています。

全国の学生からアイデア募集

これに対し、市は毎年、九大生と全国の大学生に呼びかけ、地域活性化プランコンテストを開催しています。学生たちに数人のグループに分かれて5日程度、市内に滞在、住民と交流してもらい、活性化のアイデアを出してもらおうという企画です。これまでに市内各所を会場とした国際芸術祭の開催、東南アジアでよく使われる三輪自動車「トゥクトゥク」の観光利用などのユニークなアイデアが寄せられ、市で実施を検討しています。

九大生の出店を市が資金援助

また、九大生、大学院生、九大OBや彼らが在籍する企業が前原中央商店街に出店する際、改修費などを補助する制度を設け、若い力を中心市街地活性化に活かそうとしています。市の発足から6年、まだ取り組みが始まったばかりですが、域学連携の好例として注目を集め、全国のマスコミが取材に訪れるようになっています。
(注)江戸時代の武家屋敷や明治時代の富農屋敷に多い門の形式。家臣や下働きが住む長屋の一部に門を設けて1棟としている。

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