地方創生を阻害する、地域人材の危機意識の不足とモチベーション低下

地方創生を妨げている根本原因とは?

地方の方と、地方創生や地域活性化を論じていると、本音と建前論が入り混じっているなあと感じることがよくあります。

「地方を活性化させないと、この先この地域は衰退する一方だ」「将来的には消滅する恐れもある」「何とかしなくてはいけない」と一様に危機感を持っている様子ではありますが、本音の部分では「とりあえず、今は食べていけるから、まだ大丈夫」「誰かほかの人がやってくれるのを期待したい」などと、どこか切迫した危機意識が薄いという印象を持ちます。 ここに私は地方創生がうまく進まない一つの根本原因が潜んでいるのではないかと考えています。

つまり、当事者である住民の危機意識、切迫感の欠如です。

 

さらにこの状況に追い打ちをかけるのが、地方創生を促進していく、言わば、盛り上げ役の自治体職員のモチベーション低下です。

彼らも、地域振興課や商工観光課などに配属され、地域活性化や地方創生を促進していく立場を任ぜられると、役割上その任務を果たすべくさまざまなアクションを起こすわけですが、残念なことに、その「やる気」がなかなか継続しません。

これは、一般的に言われている自治体職員の配置転換期間が3年から5年程度であることに、起因していると考えます。

せっかく軌道に乗ってきたと思っていたら旗振り役が異動した、では本人はもとより、周囲の士気も上がりませんよね。

私は、既述の地域住民の危機意識の不足と、自治体職員のモチベーション維持の2つの問題が、地域創生に立ちはだかる大きな根本原因だと感じています。

 

プロフィット追求型のまちづくり会社の設立を

住民の危機意識と自治体職員のモチベーション維持、この二つの問題をまずは解決しないと、地域活性化の施策をいくら考えても、うまくいかないのは明白です。

では、どうするか? 仕事柄、地域人材の育成に携わっていますが、本人のモチベーションや意識を変貌させることは、そう簡単にはいきません。

誤解を恐れず言いますと、私はそのような人たちに、地方創生や地域活性化の重責を任せきるのではなく、やる気のある人を外部から募るのも1案かと思います。

私の持論を述べると、徹底的に利益(プロフィット)にこだわったまちづくり会社を起ち上げ、それを地域ぐるみで育んでいくことが必要だと思います。まちづくり会社は既に全国にありますが、NPO法人などの形態が多く、非営利組織の印象が根強く残っています。

 

大手企業並みの給与水準を保ち、一定の雇用を維持する地域のフラッグカンパニーを創り出します。ビジネスプランを広く外部から公募し、優秀な案を自治体が選び、起業から安定軌道に乗るまでは一定の補助をします。

ビジネスプランの一例を考えると、積極的にセールスプロモーションを打ち出し、インバウンドの誘客や6次産業化の推進、民間企業の人材育成の場としてのフィールドの提供(※)など、斬新かつ幅広いビジネス展開が期待できます。

(※)ヤフーやアサヒビールなどが近年、地域課題解決プロジェクトと称して、自社の社員の人材育成に「まちづくり 」をテーマとした試みが始まっています。

 

最終的には地域関係者を巻き組んで

やや 荒療治的なやり方かもしれませんが、このような形で

地域に元気なカンパニーを自立させ、地域活性化の先行をさせつつ、

最終的には「雇用」や「経済波及効果」を生み出すことで

住民や自治体をも巻き込んでいく、大きなスキームを形成できるのではないかと考えています。

「まちづくりは、魅力ある儲かるビジネスである」

そんな定説を生み出すことで、まちづくりに関わる人々の「やる気」を

醸成して行くこと。

地方創生の奇策はここにあると考えています。

 

地域人材育成コンサルタント 田原洋樹

 

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