インバウンド観光関連コラム(VOL.8) 『日本全体でインバウンド受け入れ態勢を構築する』

日本全体でインバウンド受け入れ態勢を構築する

 

一極集中が続く

昨年を大幅に上回る勢いで、インバウンド観光客が日本に押し寄せています。

2020年の東京オリンピック開催までに年間2000万人を受け入れるという

目標は、早ければ今年中にもクリアされる状況にまで来ました。

円安や、ビザ緩和策などが功を奏した結果ではありますが、新たな課題も見えて来ています。東京などの大都市に集中する、一極集中化傾向が顕著になってきたのも課題の一つと言えます。

 

東京と言えば、空の玄関である成田空港や羽田空港に近いという地理的な要因だけでなく、東京ディズニーランドや秋葉原、銀座などとインバウンド観光客には、大変魅力的な観光コンテンツが集中しています。

都内のホテル稼働率も高止まりし、ホテル単価も急上昇しています。

今後、2020年に近づくにつれ、この状況は益々加速して行くに違いありません。

 

地方の衰退は変わらず

一方、地方に目をやると、インバウンド観光客から経済効果の恩恵を受けるには、もう少し時間がかかる状況です。 地方まで行かず、首都圏近郊の観光地においてさえ、インバウンド観光客はまだまだ、それほど多くは見受けられません。

(私が現在、文部科学省が推奨する大学COC事業の一環として、まちづくりに協力している)小江戸の街、埼玉県の川越市においても、年間650万人の観光客のうち、インバウンド観光客はわずか2%程度に過ぎません。

都心からわずか、30分足らずで行けるような街でさえ、このような状況ですので、日本の山間部のような地方においては、なおさら、その状況は顕著であると思われます。

 

最も避けたいことは、せっかく、インバウンド観光客が日本に大勢足を運んでいる今、

「日本は混んでいる。宿泊も確保できないらしい・・・」などという東京での状況がそのまま日本の状況として、情報拡散してしまうことのリスクです。

現代は情報化時代、まして観光は口コミの影響力が強く、トリップアドバイザーという情報提供者からの情報を頼りに、多くのインバウンド観光客は訪問先の情報を手に入れているのです。

インバウンド観光客が増えたといって手放しで喜んではいられない状況なのです。

 

今こそ、日本全国で、インバウンド連携体制を強化すべし

今、地方創生が叫ばれています。

各自治体でプレミアム商品券などの配布をはじめ、いくつかの施策を導入していますが

私は、このインバウンド一極集中化を、地方創生の大きな「機会」と捉え、日本全国の観光事業者が一つのチームとして連携することで、一気に地方活性化につながると確信しています。

例えば、都心のホテルが満室の場合、ホテルフロント担当やコンシェルジュが、日本全国の観光地の宿泊稼働状況をオンラインで確認し、北海道や沖縄などの広域に及ぶ観光地への誘導をするといった活動を促進すべきと考えています。

このような取り組みは、地方の温泉旅館組合など、ごく限られた組織内では、行われておりますが、フィールドを「日本全国」に広げるような仕組みはかなりの「奇策」と言えるかもしれません。

 

しかし、インバウンド観光客にすれば、せっかく、何時間もかけて日本に来たことを考えれば、国内移動にかける数時間は、我々にとって感じる「数時間」とはまた違った感覚でしょう。

東京にいるインバウンド観光客が、2時間かければ、仙台の秋保温泉で滞在できる。

あるいは、京都の祇園で食事が出来るとは想像もしていないことでしょう。

狭い日本で、これだけの交通インフラが整っていることを日本の「強み」と捉え、持ち前の、おもてなし対応を発揮すれば、もっともっとさまざまな選択肢が生まれると思います。

インバンド観光客が観光産業にもたらす経済効果を、日本の全観光産業で享受する、そんな斬新な発想が、今、我々には求められているのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

→コンサルティング・講演依頼などのお問い合わせはコチラ
→インバウンド観光に関するコラム一覧
→人材育成コンサルティングのオフィスたはら | TOP

インバウンド観光関連コラム(VOL.8) 『日本全体でインバウンド受け入れ態勢を構築する』

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

トップへ戻る