地域には課題が山積しますが、その解決法を学生が考え、自治体に提案する、いわゆる域学連携のプロジェクトを推進しています。
客員講師として、埼玉県川越市にある、東京国際大学へは2014年から通っております。
先日、今年度上期の、最終講義がありました。
各グループ、さまざまな課題を取り上げ、学生ならではの解決策を考察しました。
いくつかのアイデアから面白い内容を2つご紹介します。
まず一つ目は、観光地にゴミ箱を増やすというプロジェクトです。
川越の街をフィールドワークして、学生が感じたことは、「意外にゴミ箱が少ない」という点。
食べ歩きが盛んな割に、食べた後に、ゴミをどこに捨てればよいか?と素朴な疑問を感じたそうです。
考えたアイデアは、川越での最大のイベントである川越祭りで、 ゴミを皆で拾い、缶やペットボトルなど、リサイクル可能なものを現金化することで、新たにゴミ箱を購入し、メイン通りに設置しようという試み。また、ペットボトルなどを使って、アートな作品を展示し、それをSNS等で拡散することで、ポイ捨て防止への啓蒙につなげようとする試みです。
二つ目は、川越の観光ポイントは、駅から点在しているので、たとえば、氷川神社や喜多院などは、徒歩では行きづらいという課題があります。
バスやタクシーを利用するか、頑張って15分程度歩いてたどり着くしか方法がありませんが、
彼らが考えたのは、「心理的な距離を縮めること」。ちょっと裏通りに入って、観光ガイドブックには掲載していないような、隠れた名店を巡りながら、目的地に向かうことや、スタンプラリーをしながら、遊びながら目的地に向かうなどの企画を考えました。
二つとも、学生らしく、シンプルでありながら、よく考えられた内容です。
素朴な疑問から、その課題を学生ならではの解決策を考える。
そのプロセスを通じ、課題解決思考を育むのみならず、チームワークや、コミュニケーションスキルを習得していきます。
そしてもちろん、本当に、自治体が採用し、事業化するような事例も出始めています。
域学連携の講義を初めて、早いもので4年目を迎えます。
毎回学生が考え出すアイデアに、ドキッとさせられます。
このワクワク感、教員冥利につきますね。
田原洋樹