外国人観光客が殺到する北海道
北海道を訪れる外国人観光客が、アジアの国々を中心に急増しています。世界的に知られるパウダースノーのリゾート地や新鮮な北国の海鮮料理がお目当てで、2013年度には年間100万人の大台を初めて突破しました。外国人観光客を受け入れる新千歳空港は連日、キャリーバッグやスーツケースを手にしたアジアの人たちで大にぎわい。アジアの富裕層は北海道ブームに沸き返っているようです。
アジア中心に15年余りで10倍に増加
道観光局の調べでは、道内を訪れる外国人観光客は1997年度に11万8600人しかいませんでした。しかし、その後は外国人観光客数が毎年増加を続けました。2013年度は97年度の約10倍に当たる115万3100人に達しています。全体のざっと9割を占めるのが、アジア、太平洋地域からの観光客。国、地域別の内訳は台湾が41万6000人でトップです。次いで中国15万8000人、韓国14万2000人、香港10万7000人、タイ9万9000人、マレーシア、シンガポールともに3万6000人、豪州3万5000人と続きます。
スノーリゾートにアジアから熱い視線
北海道がここまで人気急上昇した背景には、アジア諸国の経済発展で富裕層が増えたことがあります。台湾、香港、シンガポールはほぼ先進国並みともいえる生活水準です。中国の富裕層は爆発的な勢いで増えました。さらに、アジア、太平洋地域からだと時差がほとんどないまま、スノーリゾートを楽しめることも人気の原因とみられています。東南アジアには夏のリゾート地はあっても、雪が降る冬のリゾート地がほとんどないからです。昨今の円安も追い風になっているようです。
道内企業も外国人観光客に優遇措置
道を挙げた誘致努力も人気を高めた一因でしょう。道はシンガポールや香港で毎年のように観光キャンペーンを行い、北海道の名をPRしてきました。道内の企業は連携し、外貨から日本円への両替手数料を割り引くなど外国人観光客向け優遇措置を採り入れています。観光客で最も多い中国語話者のために、中国語のテレビ放送をする宿泊施設も増えています。その結果、中国映画のロケ地となり、いっそう外国人の注目を集めたわけです。
受け入れ側の施設整備に課題も
ただ、受け入れ側の施設整備に課題が目立ってきました。その一つが混雑の続く新千歳空港です。長蛇の列を作る外国人観光客をさばききれず、出発便の遅れが多発しています。ソーシャルネットワークの時代となったのに、Wi―Fi環境の整備も遅れています。今後も外国人観光客の数が増えると予想されていることから、利便性を高めるために早急な改善、整備が必要でしょう。
しかし、北海道観光振興機構が北海道観光インバウンド特区(※)を提案するなど自治体側も手をこまねいている訳ではないので、今後もインバウンド成功地域として北海道からは目が離せません。
※インバウンド特区・・・北海道に来訪するインバウンド観光客数のさらなる増大を狙って、その障壁となっている新千歳空港に乗り入れする外国機の規制を緩和したり、お土産品に対する免税制度の拡大などを促進しようとする試み。平成22年に閣議決定された「新成長戦略」における「観光立国の推進」の一環とした取り組み。
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