内閣府がホームページにアップしている、今年度の各地方自治体が取り組む「地方創生推進事業」の一覧を見て気づくことがあった。
「ひとづくり」や「人材育成」、「人材確保」などといったワードが乱立していることだ。確かに地域で必要なことは「ひと」を核としたリソースを活用することであろう。一昔前の、「観光促進」一辺倒から、ここ数年で変化してきた潮流と言えるかもしれない。2014年に石破元地方創生大臣が、「地方創生は人づくりから」を発言したことを機に、地方での人づくり機運は一気に高まった。
ただ、ひとくくりに「人づくり」と言っても、プロセスを踏まないとうまくは進まない。地方での人づくりのポイントとして、そのプロセスを3つ挙げておきたい。
第1ステップ:人材の発掘
第2ステップ:人材の確保
第3ステップ:人材の育成
まずは、最初のステップとしては、発掘である。地域に埋もれた人材はいないか?そのポテンシャルを見極めて、見つけ出すこと。これがまず必要なステップだ。口コミや、公募、あるいは面談による一本釣り、地域にいないとなると、他から引っ張ってくるという手段もある。IターンやUターン、定年後の再就職、海外留学生も視野に入るだろう。あらゆる手段を講じて、まずは人を探し出すことだ。
次のステップは、確保だ。せっかく、発掘しても、その人材を地域に留めておかないと意味はない。地域に魅力を感じなくなって、都会へ出て行ってしまったら、元の木阿弥だ。地域に興味関心を抱き続けるための環境整備が必要だ。やりがいを創出することも大事だが、ビジネスとして一定の実入りがあるかないかも重要なポイントとなる。そこで、今注目されているDMOや地域商社の存在が重要になる。
最後に、人材を育てる仕組み作りだ。地域に根付く人材をまちぐるみで、計画的に育成していく姿勢が必要だ。地域の住民や関係者を巻き込んでいく力、リーダーシップメントを持った人材を育てていくことが急務である。そのためには、座学や地域活動を通した、体系的な教育カリキュラムの構築と実践が重要になる。カリスマが現れるのを待ちわびるのではなく、地域からリーダーを育てていくことが必要なのだ。
以上、3つのプロセスを経て、はじめて「人づくり」が完成する。「地方創生は人づくりから」
今、地方の生き残りをかけた、「人づくり」革命が始まった。
地域人材育成コンサルタント
明星大学特任准教授 東京国際大学客員講師
株式会社オフィスたはら 代表取締役 田原洋樹