本当に2つのMが重要なのか?
観光庁が今、強力に推進している日本版DMO。すでに、多くの情報が流れていますので、あえて詳しい説明は割愛しますが、その成功を握るのは、「2つのM」であると言われています。ここでいう、「2つのM」とは、マーケティングとマネジメントです。
もちろん、観光地域づくりに、この2つは欠かせないポイントでしょう。ただ、私が常々思うことは、観光産業を担ううえで、やたらに、マーケティングとかマネジメントとかの、アカデミックなものだけをインプットして、本当に組織運営は上手くいくのであろうか?という疑問です。
観光はブラック産業
観光地域づくりを考える上で、避けて通れない課題は、観光産業における人材が
定着化しないということです。
宿泊施設で働く人材の、3年以内の離職率は5割にのぼるとも言われています。
この数字は立派に「ブラック産業」と言えるものです。
給料は安く、労働は過酷で、顧客からのクレームも日常茶飯事です。
今こそ、3つ目のMの向上を!
そんな中、いつも私が言うのは、3つ目のM、すなわち
観光人材のモチベーションアップこそが、観光まちづくり政策において最も急ぐべき課題であるということです。
観光人材育成と称して、「おもてなしセミナー」をやる前に、まずは自らの働く意欲向上を醸成していかねば、2020年の東京オリンピックの開催はもとより、年々拡大するインバウンド観光客への、心のこもった、真なる「おもてなし」ができない危険性が迫っているのです。
地方創生は人材育成から
石破前地方創生大臣が「地方創生は人材育成から」と言及していたことを、本当の意味において理解している人が、どれくらい存在しているのか?
日本版DMOの話題がいろいろなところで出てくるたびに、人材育成を生業としている自身、苦々しい思いで見ているのです。
ただ、この状況を指をくわえて眺めているだけではいけません。
観光産業を担う人材が、活き活きと、毎日を過ごせるように。
一生の仕事として、誇りを持って働き続けることができるように、時に講演会の講師として、また時に大学教員として、そして地域活性化や地域人材育成のコンサルタントとして、微力ながらもあきらめずに、愚直に活動して参りたいと考えています。
株式会社オフィスたはら
地域人材育成コンサルタント 田原洋樹