この時期は、4月から始まる2019年度新入社員の研修依頼が入ってきます。
基本はクライアント側の意向を尊重しますが、私は極力、マナー研修に偏らない
プログラムをお勧めしています。
新卒研修はマナーだけ教えておけば何とかなる。とお考えの方が多いのですが、
もちろん、社会人としての最低限度の作法は身につけるべきです。
ただ、このマナーは実社会の中(OJTを通して)で培われていくものであり
1日や2日の研修を受けたからと言って、それですべてをマスターできるわけではないからです。
では、新卒者に受けさせたい重要セッションは何か?
私は、入社した会社の理念を自分なりにじっくりと解釈すること、仕事観を自己認知させること、そして、顧客目線に立つことの意味を考えさせることの3つをお勧めします。
経営理念は、多くの新卒者は就活中に何となく目にしてはいますが、じっくりとこの会社の
アイデンティティーは何か?経営者の真なるメッセージはどのようなものなのか?社員はどのようなDNAを持っているのか?を考え抜くのは、入社間もないこのタイミングが最も有効であると考えています。
入社後は業務に忙殺され、理念をじっくりと考察することがなく時が過ぎていくからです。
次に仕事観です。仕事をする上での価値観は人それぞれ違います。自分は一体何のために働くのか?
何となく抱いている価値観を明確化させることで、この先続くキャリアのアンカー(指針)となるはずです。ドラッカーの3人の石切職人のケーススタディーをやってそれぞれの考えを明確化するのも良し、100枚の価値観カードから自分に合うカードを選んで、他のメンバーと共有するのも良し。手法はいくつかあります。
最後に顧客目線に立つことの重要性を考えさせます。
よく、4Pと4Cの違いを説明することで、いかに顧客目線に立つこと大事なのかを
考えさせるのですが、「顧客価値」と一言で言っても、最初は何のことが良く理解できません。
例えば旅行会社は「旅行」というサービスを売るのですが、そのサービスを受容する顧客は
「旅行」を通じて何らかの価値を受け取るということを、例を出しながらじっくりと解説していきます。
「家族との大切な時間を過ごす旅にしたい」「まだ見ぬ土地で、自身の見聞を広めたい」「仲間との最後の想い出づくりをしたい」など、「旅行」という商品が、顧客の中で形を変えて作用していくのです。
このような事例を出しながら、じっくりと顧客目線に立つというスタンスを醸成していきます。
以上の3つのセッションを新入時に施すことが、私は大変重要であると考えています。
決してマナーは不必要と言っているのではありません。マナーだけで終わってしまうことが
もったいないと考えているのです。
以上、とある人材育成コンサルタントのつぶやきでした。
株式会社オフィスたはら
代表取締役 田原洋樹